データシートの読み方<バイポーラトランジスタ編>

データシートの読み方 電子工作のススメ

初めての投稿ということで、日を追うごとに修正が入ると思いますがご容赦ください。初回はデータシートの読み方<バイポーラトランジスタ編>について記述していこうと思います。

トランジスタとは

トランジスタは主にバイポーラトランジスタユニポーラトランジスタの2種類が存在します。

今回取り扱うトランジスタはバイポーラトランジスタです。バイポーラトランジスタとは「コレクタ・エミッタ間に流れる電流をベースに流す電流でコントロールできる素子」のことを指します。(ちなみに、トランジスタはNPN型とPNP型があります。NPN型はコレクタ→エミッタ方向に電流を流し、PNP型はエミッタ→コレクタ方向に電流を流します。)

なにを言っとるんじゃボケと思っている方は以下のスライドをご覧ください。以下ではNPN型のトランジスタ、つまりコレクタからエミッタに電流を流すタイプを例に話を進めていきます。

このスライドから、①でベース(B)に10 [mA]の電流を流した結果、②でコレクタ(C)・エミッタ(E)間で100 [mA]の電流をコントロールできていることが分かります。たった10 [mA]で100 [mA]の電流を制御することができています。

このように、トランジスタは電流の増幅を行える機能を持っています。

また、トランジスタはベースに電流を流さないとコレクタからエミッタへ電流を流しません。そのためON・OFFスイッチとしての役割も果たしています。

今回の主題はトランジスタの動作解説ではないため、サラッとした説明にはなりますが、なんとなくは理解していただけたでしょうか。次は今回の主題です。

トランジスタのデータシートの読み方

データシートは電子工作するうえで避けては通れない読み物(?)です。

トランジスタのデータシートは比較的読みやすい部類です。そのため、データシートに慣れるためには良い練習になると思います。

早速データシートを見ていきましょう。原本を見たい方はこちらの秋月電子さんのページから見ることができます。(https://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-17089/)

初心者が見るべきトランジスタのデータシートの場所は主に以下の5つです。(低周波数の信号かつ小電力時の場合)

  • コレクタ・エミッタ間電圧(VCEO)の定格
  • コレクタ電流(IC)の定格
  • コレクタ損失(PC)の定格
  • hFEの値
  • ピン配置

コレクタ・エミッタ間電圧(VCEO)の定格

コレクタ・エミッタ間電圧(VCEO)の定格は、コレクタ・エミッタ間でかけてよい電圧の最大値を示しています。スライドで使用したデータシートでは50 [V]が定格となっているため、50 [V]以上の電圧をかけてはならないことを示しています。

コレクタ電流(IC)の定格

コレクタ電流(IC)の定格は、コレクタ・エミッタ間で流しても良い電流の最大値を示しています。スライド中のデータシートでは150 [mA]が定格となっているため、150[mA]以上の電流を流してはいけないことを示しています。

コレクタ損失(PC)の定格

コレクタ損失(PC)の定格は、コレクタ・エミッタ間での最大電力を示しています。電力[W]は、電圧[V]×電流[A]で求まります。スライド中のデータシートでは400 [mW] (0.4 [A]) が定格となっているため、電圧[V]×電流[A]の値が400 [mW] (0.4 [A]) を超えてはならないことを示しています。

hFEの値

hFEは電流増幅率といい、ベース電流に対するコレクタ電流の比率のことを指します。この値はコレクタの電流[A] / ベースの電流[A] で求めることができます。トランジスタの特性として周囲の温度が上がるほどこの値は大きくなります。

電子工作を行う際は、マイコン側の最大出力電流とトランジスタでコントロールしたい回路に流す電流を比較する必要があります。また、選んだトランジスタのhFEは適切か判断する必要があります。今回のデータシートではhFE(1)の(注)を見ると分類という表記があります。使用するトランジスタに印字されている文字と照らし合わせてhFEを確認しましょう。例えば印字がOと書いてあれば、電流増幅率は70~140ということになります。

ピン配置

ピン配置は必ず見ましょう。トランジスタは基本的にピンが3つ存在します。3つのピンにはベース・コレクタ・エミッタが割り当てられており、ものによりこれらのピン配置の順番が異なります。回路が組みあがった後にピン配置のミスが見つかるととても萎えます。絶対に見ましょう。

さいごに

トランジスタのデータシートの読み方はある程度理解できましたでしょうか。

かなり端折った説明がありますので気が向けば続きを書いていきたいと思います(適当)。データシートを雑に読み、「なんとかなるだろう」精神で回路を組むと大体動きません。必ずデータシートを読む癖を付けましょう。

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